最高の羽毛布団には、羽毛に空気を届ける側生地(がわきじ)が必要です。
現在国内で販売されている羽毛布団のほとんどに、「ダウンプルーフ加工」という側生地の目地をつぶす加工がされています。羽毛の吹き出しを防ぐための加工ですが、通気性が悪くなることで布団の中が蒸れやすくなるデメリットがあります。
和雲は羽毛布団の性能を最大限に引き出すため、ダウンプルーフ加工をせずに羽毛の吹き出しを防ぐ、特注の側生地を開発しました。
「蒸れない暖かさ」を実現する、和雲のDown-Breathe®(ダウンブリーズ)生地についてご紹介します。
羽毛布団の品質を左右する側生地の通気性
深い睡眠をとるために、人は寝ると汗をかいて体温を下げようとします。
汗による湿気をうまく布団の外に放出してあげないと、布団の中が蒸れて体温が下がりづらくなり、熟睡できません。
本来、羽毛は湿気を吸収し放出する、ムレ感が少ない天然素材です。
しかし、通気性の悪い生地を使うと羽毛への空気の通り道を塞いでしまう形になります。どれだけ良いダウンを使っていても、そのポテンシャルをフルに引き出すことができません。
羽毛を包む生地の通気性は、羽毛布団の品質を決める大事なポイントです。
独自開発のノンダウンプルーフ生地「Down-Breathe®」
下の写真は、ダウンプルーフ加工がされている生地と、ノンダウンプルーフの和雲のDown-Breathe®生地を450倍に拡大した顕微鏡写真です。
ダウンプルーフ有りの生地 | 和雲Down-Breathe®生地 |
---|---|
ポリエステル100%/打ち込み本数230本 |
超長綿100%/打ち込み本数350本 |
同じ倍率なのに糸の太さがまったく違うことに気づくと思います。
糸が太いと糸どうしが交差する部分の穴が大きくなり、そこから羽毛が吹き出しやすくなります。そのため、樹脂でコーティングするなどして、吹き出し口を塞いであげる必要があります。これがダウンプルーフ加工です。左側の生地には空気が通るための隙間がありません。
和雲のDown-Breathe®生地は、極細の糸を超高密度に編み込むことで、羽毛の吹き出しを防ぎながら、ダウンが呼吸するための目に見えない微細な穴があいています。
一般に密度を高くすると生地は重くなりますが、極細の糸を使うため薄くて軽い生地に仕上がります。
ポリエステルの13倍、綿の4倍の通気性
生地の通気性は「通気度(cc/s)」という指標で測ります。素材や織り方、ダウンプルーフ加工の強弱によって通気度は変わってきます。
通気度(cc/s) | |
---|---|
ポリエステル | 0.5 |
綿100%(サテン) | 1.5 |
Down-Breathe®生地 | 6.5 |
和雲のDown-Breathe®生地は、ポリエステルの生地と比べると約13倍、一般的な羽毛布団に使われる綿100%のサテン生地と比べても約4倍という通気度を実現しています。
羽毛は天然の空調機能を有します。
寒い時は羽毛がふくらみ空気の層で保温し、暑い時は羽毛が閉じて湿気を布団の外に逃がすことで、快適な睡眠環境を保ちやすくなります。
最高の羽毛布団に羽毛の呼吸を妨げない生地が欠かせないのは、このような理由です。
通常の綿生地より約38%も軽く、ダウンがふくらみやすい
和雲のDown-Breathe®生地は、通常の綿100%の生地より約38%も軽く、ダウンボールのふくらみを邪魔しません。同じダウンでも、和雲の側生地に入れるとふくらみ方が違います。
軽さの秘密は超長綿という極細の糸を使って平織りにしていること。一般的な羽毛布団の生地はサテン織りですが、和雲の生地は平織りです。
平織りは太い糸を使うとごわごわ感が出てしまいますが、100番手の極細糸を超高密度に織ることによって、軽くて滑らかな肌ざわりを実現しています。
糸から生地をつくることを製織(せいしょく)と言いますが、糸が細いということは、製織中に糸切れを起こしやすく、高度な技術が要求されます。さらに高密度であるため、余計に糸切れを起こしやすく、一層難易度が高くなっています。
製織工程には下記のような苦労があります。
- 縦糸成経で十分に糊をつける
- 筬通しはできるだけ少なく糸と筬(おさ)の接触をできるだけ少なくする
- 製織スピードを極端に落とし、ゆっくり織る
それぞれ、通常の生地とは違い特別管理された工程が必要で、非常にデリケートに扱われます。
吹き出しやダニ対策は大丈夫?
生地の通気性が良いと羽毛の吹き出しやダニの心配をされる方がいるかもしれません。
和雲では側生地の品質チェックのため様々な検査を行っております。ここからは「羽毛の吹き出し検査」と「ダニ通過性検査」についてご紹介します。
1. 吹き出し検査
羽毛の吹き出し検査は、検査する羽毛布団と同じ羽毛と生地でつくったミニ羽毛布団サンプルを使って行われます。
ミニ羽毛布団を専用の機械にセットし、上から1万回も繰り返し押しつぶして羽毛がどのぐらい抜けるかを調べます。
こちらは検査の様子を撮影した動画です。
再生ボタンでご覧いただけます結果を見ると、本当に細いファイバーと呼ばれる羽毛が数本抜けている程度です。
吹き出し本数 | |
---|---|
10,000回 | 2~3本 |
どの羽毛布団にも言えることなのですが、吹き出しを100%防ぐことはできません。
それは和雲の羽毛布団も同じで、残念ながら吹き出しが絶対にありませんと言い切ることはできません。
ただ、実際の使用状況で1万回も羽毛布団を傷めつけることはないでしょうから、普通に使用している中ではそこまで心配しなくて良いのではないかと思います。
2. ダニ通過性検査
生ダニ約1万匹のうち、24時間でダニが何匹生地を通過するかを検査する「ダニ通過性試験」において、和雲の側生地はダニ通過数が0匹という結果が得られました。
和雲のDown-Breathe®生地が、アレルギーの原因となるダニの侵入を防ぐことが確かめられました。
最高の羽毛布団をつくるために
最高の羽毛布団をつくるために和雲がこだわり抜いたDown-Breathe®生地。極細の糸で丹念に編み込まれた生地は、驚くほど軽くてしなやかです。
見た目では違いがわかりにくく、本当に地味な存在ですが、軽くて通気性の良い生地は、良質なダウンの性能を最大限引き出してくれます。
暑いときは涼しく、寒いときは暖かい感覚は、まるで魔法のよう。これまで経験したことのない「蒸れない暖かさ」をお約束します。
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