※羽毛布団には「本掛け」「合掛け」「肌掛け」の3種類があります。それぞれの選び方は「季節にあわせた羽毛布団の選び方」をご覧ください。
就寝時は布団を掛けていたはずなのに、いつのまにか掛け布団を蹴落としていたという覚えがある方も多いのではないでしょうか。もしかしたらそれは側生地が原因かもしれません。
ダウンの品質より先に側生地の通気性をみるべき理由はいくら上質なダウンを使っても、側生地の通気性が悪いと意味がないからです。
地味な存在ながら睡眠時のムレ感を左右する「羽毛を包む側生地(がわきじ)」の選び方をご紹介します。
目次
側生地(がわきじ)とは
側生地とは羽毛を直接包んでいる生地のことです。略して「がわ」と呼ばれたりします。布団カバーと間違われやすいのですが、布団カバーの内側で羽毛を直接包んでいる生地が「側生地」です。
羽毛が飛び出さないよう一般的な生地よりも高密度に織られており、中に入っている羽毛よりも側生地の方が重いことは珍しくありません。
ダウンは天然のエアコン。ダウンの特性を生かす通気性の良い生地を選ぼう
ダウンボールには湿度が高くなると閉じ、低くなると開く小羽枝(しょううし)が無数に生えています。
羽毛布団が暖かいのは、ダウンボールがつくる空気層の中に体温の熱が蓄積されるから。
その空気層を使って布団の中の温度(おんど)や湿度(しつど)を調整するため、ダウンは「天然のエアコン」ともいわれます。
ダウンがもつエアコン性能は、湿気を含んだ空気が側生地の外に出ることによってはじめて機能します。
世界最高品質のダウンを使っていたとしても、側生地に通気性ゼロの生地を使っていてはせっかくの良質なダウンが台無しです。
ビニール袋で包まれた羽毛布団を想像してみてください。湿気が布団の中から逃げることができず、ムシムシしてとても眠れたものにはなりません。
ダウンの呼吸を妨げない通気性の良い生地を選ぶことが、羽毛布団選びで最も大事なポイントです。
暖かくて蒸れない羽毛布団 = 良質なダウン × 通気性の良い側生地
ポリエステル混は通気性に難あり
羽毛布団の側生地によく使われる素材は、「ポリエステル」「綿」「絹」の3つ。
コストが安く機能加工がしやすいことから、日本で販売されている羽毛布団の側生地はポリエステルを使ったものが主流です。
ひと昔前は羽毛布団の側生地といえば綿でしたが、近年の羽毛価格の高騰を受けて、側生地の品質を落としているメーカーが増えています。
「良い羽毛布団を買ったはずなのになぜか蒸れて寝苦しい」とならないために、しっかりと消費者側も知識を身に付ける必要があります。
「人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかく」と聞いたことがある方もいるかもしれません。側生地の通気性が悪いと布団内が蒸し風呂のような状態となって体温があがり、眠りが浅くなる原因になります。
ポリエステルを側生地に使った羽毛布団は通気性が悪く蒸れやすいため、睡眠の観点からはおすすめできません。
ポリエステルを使った側生地は蒸れやすい。
ダウンプルーフ加工にはデメリットも
側生地にはダウンが吸った湿気を外に吐き出すという役割の他に、中の羽毛が外に飛び出ることを防ぐ役割があるため、生地の目地をつぶす「ダウンプルーフ加工」という特別な処理が行われます。
ダウンプルーフ加工にはメリットもありますが、側生地の通気性が悪くなるというデメリットがあります。
細くて硬い羽軸のあるフェザーや細かなダウンファイバーは、生地から飛び出しやすい特徴があります。質の悪い羽毛を使うと吹き出しを防ぐためにダウンプルーフを強めにかける必要があり、側生地の通気度はさらに悪くなります。
低品質な羽毛を使うほど強めのダウンプルーフをかけるため蒸れやすい。
ウォッシャブルは洗えるけど蒸れる
ウォッシャブル対応の羽毛布団は、樹脂で生地の目詰めをするなど、通常よりも強めにダウンプルーフ加工をしているケースが多く、普通の羽毛布団よりも蒸れやすいです。
汗をかくからと、清潔さを求めて洗える布団にしたつもりが、ウォッシャブル対応がかえって汗の原因になっている可能性もあり得ます。
「自宅で洗濯できる」というのは一見便利に聞こえますが、家庭用洗濯機のサイズを考えると、肌掛け布団など薄めの布団でないと自宅では洗うことができません。
何より、自宅やコインランドリーで羽毛布団を洗ってしまうと、側生地や中身の羽毛が損傷してしまう可能性があります。とくに上質なダウンを使った羽毛布団は、ご自宅では洗わず、羽毛布団専用のクリーニングに出すのがおすすめです。
眠りの質を良くするために羽毛布団を購入するはずなのに、使うかわからないウォッシャブル対応のために日々の眠りの質を犠牲にするのは本末転倒、というのが私たちの考えです。
そうはいっても羽毛布団は定期的に洗いたいんだけど・・・
その場合は、購入後にも定期的なクリーニング対応をしてくれるかどうかを確認してみてください。和雲でも羽毛布団専用のクリーニングサービスを行っております。
ウォッシャブル対応はかえって汗をかきやすくなる。本当に自宅で洗うかを考えよう。
ダウンの呼吸を妨げない綿100%、できれば超長綿を選ぼう
絹も素晴らしい素材ですが、摩擦や紫外線に弱いなど扱いがデリケート。そのため羽毛布団の側生地には丈夫で通気性の良い綿100%が最適です。
綿は素材自体の吸湿性が高いので、ダウンプルーフ加工がされた生地でも少しずつ布団内の空気を循環させてくれます。
綿100%でもウォッシャブル加工された綿は樹脂で目地をつぶしているため、本来の綿の通気性は失われていますのでご注意ください。
同じ綿100%でも段違い。綿の王様「超長綿」とは
綿に限りませんが、繊維には長さがあり、長ければ長いほど細くて強度の高い糸をつくることができます。
綿の中でも繊維の長さが35mm以上ある綿は「超長綿」と呼ばれ、全綿花のうち1.7%しか収穫されない「綿のカシミヤ」と呼ばれる高級品です。
繊維の長さによる綿の品質の違い | 短繊維綿(21mm以下) |
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中繊維綿(21mm〜28mm未満) | |
長繊維綿(28mm以上) | |
超長繊維綿(35mm以上) |
糸が細いほど生地が軽くなります。生地が軽いとダウンのふくらみを邪魔しませんので、軽くてあたたかい羽毛布団になります。
糸の細さは番手の数字で確認
番手とは糸の太さの単位のことです。20番手、40番手、60番手、80番手、100番手というように、数字が大きくなるにつれて細い糸になります。
番手の数字が大きくて糸が細いほど生地が軽くなり、通気性も良くなります。
側生地にもこだわっている羽毛布団なら80番手、最高級品なら100番手クラスの生地が使われます。
目安としては、番手の記載がなく、単に「綿100%」と書いてあるだけの場合は、60番手未満である可能性が高いです。
蒸れにくい側生地を選ぶポイント
良質な羽毛布団を見分けるための第一歩は、側生地の通気性を確認すること。
- 睡眠にこだわるならポリエステル混は避けよう
- 丈夫で通気性の良い綿100%が鉄則
- 綿100%でもウォッシャブル対応は蒸れる
- 綿の中でも超長綿で作られた側生地がおすすめ
- 80番手以上の細くて通気性の良い生地を選ぼう
通気性の良い側生地はダウンを選ぶ
吹き出すリスクが高いため、低品質な羽毛には通気性の良い生地は使えません。吹き出しを防ぐためにダウンプループ加工が行われます。
通気性の良い生地を使うためには、飛び出しやすいフェザーの割合を減らしてダウンボールが大きい良質なダウンをたっぷりと使い、ダウン率を高める必要があります。
羽毛と生地のどちらかだけが良くても駄目なのが羽毛布団づくりの面白いところです。
ダウンの性能を最大限引き出すため、和雲の羽毛布団は全て、ダウンプルーフ加工を行わない独自の「Down-Breathe®生地」を使用しています。
和雲のノンダウンプルーフ生地について詳しく知りたい方は下記をご覧ください。