ダウンとフェザーの違いは?
羽毛布団の中身は大きく「羽毛(ダウン)」と「羽根(フェザー)」に分かれています。
スモールフェザーとは、腹部に生えている小さなフェザーのことです。羽根部分に生えているフェザーよりもカサカサ感は軽減されますが、軽さと暖かさはダウンに及びません。
羽毛布団に「軽くてあたたかい」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、これは「フェザー」ではなく「ダウン」の特徴です。
JIS規格では、ダウンがどのくらい入っているかによって、「羽毛布団」と呼ぶか「羽根布団」と呼ぶかを明確に区別しています。
羽毛布団 | 羽根布団 |
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「ダウン」が50%以上 (フェザーが50%未満) |
「ダウン」が50%未満 (フェザーが50%以上) |
これまで羽毛布団と思って使ってきたのが羽根布団だったと知ってびっくりしました!
フェザーには硬い芯があり、ダウンよりも重くカサカサした寝心地になります。保温性もダウンには勝てません。
ダウンは水鳥の胸毛の部分にわずかに生えているだけで、1羽あたり10g程度しか取れません。フェザーと比べて手に入りづらいため、ダウン率が高い羽毛布団ほど値段も高くなります。
たまに見かける「スモールフェザー100%の高級羽根布団」という表記に騙されないようにしてください。
表記上はダウン率が50%以上あれば羽毛布団と呼ぶことができますが、羽毛布団の本当の良さを実感するには、ダウン率90%以上は必要です。
軽さや暖かさを求めるならダウン率90%以上の羽毛布団を選ぼう。
ダックとグースはどちらが良い?
ダウン率が高い羽毛布団が良い羽毛布団なんですね。
実はダウン率が高いだけでは良い羽毛布団とは限りません。
原価を知っている私たちからすると、あり得ない安値で販売されている商品がネット上にはたくさんあります。
中にはダウン率を高めるために未熟なダウンをたくさん詰めただけの羽毛布団もあります。ダウンの量だけでなくダウンの質も大事なのです。
羽毛布団に使われる鳥の種類は「ダック」と「グース」の2種類です。
一般的にダックよりもグースの方が良いとされる理由は、ダックよりもグースの方が体が大きいから。体が大きい分、ダウンボールも大きくなり、より丈夫で暖かい羽毛布団を作ることができます。
ただし、若くて未成熟なグースよりも、長期間飼育された大人のダックの方がダウンボールは大きくなります。大事なのはダックかグースかではなく、「実際のダウンボールの大きさ」です。
親鳥になるまで飼育されたグースは「マザーグース」と呼ばれます。もともと大きなグースが長い期間をかけて成長しているため、マザーグースのダウンボールは格別に大きく、一級品です。
ダウンが大きく育つまで待つのは時間も餌代などの費用もかかりますが、その分、空気量の多い軽くて暖かい羽毛布団をつくることができます。
良質なダウンをたっぷり使った羽毛布団は暖かさの質が違います。
同じダウン率なのに値段が違うことがあるのは、ダウンの質で暖かさに差が出るからなのか。
ひな鳥から採れる未熟なダウンも、大人の鳥の成熟したダウンも、品質表示上は同じ「ダウン」です。
ダウンの大きさは外から見てもわからないため、消費者は「ダウンパワー」の数値で推測するしかありません。
ダウンパワーとは、羽毛のふくらむ力を数値化したものです。ふくらみが大きいほど空気をたくさん含んで暖かくなりますので、ダウンパワーが大きいほど軽くて暖かい羽毛と言えます。
信頼できる羽毛布団メーカーを見つけることが大事な理由は、ダウンの目利きを任せられることにあります。
近年、ダウンジャケットやアウトドア用の寝袋など、ダウン製品の需要が世界的に高まっており、良質なダウンの仕入れ値は年々高騰しています。それにつれて羽毛布団の価格も高くなっていかないとおかしいのですが、そうはなっていません。なぜでしょうか?
2016年?2018年の間に羽毛の価格は約2.5倍も値上がりしました。今後はさらに値上がりすることが確実視されています。
製品価格を抑えるために未熟でへたりやすいダウンを使用した粗悪な羽毛布団が増えているからです。
小さくて未熟なダウンは、数年でつぶれて使い物にならなくなりますので、注意が必要です。
何度も買い替えるより、良質な羽毛布団をメンテナンスしながら長く使う方が、10年単位で考えるとリーズナブルな場合もあります。
購入後に後悔しないよう、ダウンの質についてもしっかりと見極めて選ぶことが大切です。
ダックかグースかよりも大事な「ダウンの大きさ」はダウンパワーで判断する。飼育期間の長いマザーグースは暖かさも丈夫さも一級品。
ニオイはしないか?
羽毛布団ってニオイが少し苦手なんです。
羽毛布団はニオイがして当たり前と思っている方も多いですが、そんなことはありません。きちんと洗浄にコストをかけている羽毛布団は臭いません。
汚れが残ったままのダウンボールはふくらみづらいため、いかにキレイに洗浄できるかは、衛生面だけでなく羽毛布団の性能の良し悪しに影響するポイント。それを数値で確認できるのが「清浄度」です。
羽毛布団の清浄度とは、「羽毛がどれだけキレイに洗浄されているか」を表す、JIS規格で定められた数値のことです。洗浄度とも呼ばれます。
洗浄後の羽毛の汚れを溶かした水を透視度計に入れ、底の目印がどのくらいの深さまで見えるかを測ります。この透明度が500mmというのが、日本の業界基準です。
500mmという数字を最低基準にして、どのくらい洗浄に力を入れている羽毛布団なのかを確認することがおすすめです。例えば和雲では業界基準の4倍の透明度2,000mmになるまで洗浄しています。
JIS基準 | 和雲の羽毛布団 |
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500mm以上 | 2,000mm以上 |
良質な羽毛布団づくりをしているメーカーは、必ず清浄度の検査をしています。
羽毛布団を選ぶときは、ダウン率やダウンパワーだけでなく、清浄度の数値も必ず確認するようにしてください。
性能にも影響する羽毛の清潔さは、清浄度の数値で必ず確認する。
蒸れやすくないか?
もし羽毛布団選びで一番大事なものを一つだけ挙げろと言われたら、それは「生地」です。
良いダウンを軽くて通気性の良い生地で包んだ羽毛布団は、暖かさの質が違います。
え、羽毛布団なのに羽毛よりも生地が大事ってどういうこと?
ダウンは空気をたくさん出し入れすることでその良さを発揮します。
通気性の悪い生地を使うと、ダウンの呼吸を邪魔してしまいます。空気が生地を通して中のダウンに届かなくては、どれだけ良いダウンを使っても意味がありません。
特に、ポリエステルを使った生地でダウンプルーフ加工を行うと極端に通気性が悪くなります。羽毛布団の生地は綿100%が鉄則と言われるのはそういう理由です。
綿の中でも「超長綿」と呼ばれる繊維の長い綿は、非常に軽くて吸放湿性が高く、しかも丈夫。
超長綿は羽毛布団に最も適した素材のため、一定以上の品質の羽毛布団には超長綿が使われます。全綿花の1.7%程度しか収穫されないため希少ですが、寝心地と丈夫さを重視するなら一番おすすめの素材です。
超長綿か。同じ綿100%でも違いがあるのね。
ひと昔前は羽毛布団の生地といえば綿でしたが、近年の羽毛価格の高騰を受けて、生地を綿100%からポリエステル混にダウングレードするメーカーが増えています。
「蒸れにくい」ことが利点のはずの羽毛布団で、生地の素材のせいで「羽毛布団は蒸れる」という誤解をされることがあるのはとても残念です。
生地の素材まで見て購入する消費者はほとんどいません。生地は真っ先にコスト削減の対象になります。せっかく良い羽毛布団を買うなら、生地の質にもこだわりましょう。
生地は綿100%が鉄則。できれば丈夫で軽い超長綿を選ぼう。
品質の目安を知ろう。
産地偽装もあるって聞いたことがあるし、良いものを見分けられるかやっぱり不安。
100%ではありませんが、ゴールドラベルのランクで品質の目安を確認することは安心材料の一つになります。
ゴールドラベルとは、羽毛布団の業界団体である日本羽毛製品協同組合が審査・発行している品質推奨ラベルです。
メーカーから独立した公的な認定試験機関で品質審査をするため、今のところ信頼度は一番高いです。
ゴールドラベルには4つのランクがあり、品質面からおすすめできるのは「ロイヤルゴールドラベル」「プレミアムゴールドラベル」の2つです。
ニュー ゴールドラベル |
エクセル ゴールドラベル |
ロイヤル ゴールドラベル |
プレミアム ゴールドラベル |
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ダウンパワー 300dp以上 |
ダウンパワー 350dp以上 |
ダウンパワー 400dp以上 |
ダウンパワー 440dp以上 |
ダウン混率 50%以上 |
ダウン混率 80%以上 |
ダウン混率 90%以上 |
ダウン混率 93%以上 |
安さ重視 | 最低ライン | 良質の目安 | 最高クラス |
ラベル毎に定められた最低基準をクリアしているかだけでランク付けがされていますので、「同じラベル=同じ品質」ではないことに注意が必要です。
例えばゴールドラベルは生地については評価の対象外です。どんな素材の生地を使うかで羽毛布団の寝心地は大きく変わります。
ゴールドラベルは第三者機関できちんと検査がされているという安心感と、品質の目安としてご利用ください。
高品質の目安はロイヤルゴールドラベル以上。ただし同じランクでも品質には差がある。